せかほしで特集したアーツアンドクラフツ



NHK 「世界はほしいモノであふれてる」〜 時代を彩るアンティークジュエリー 〜 でも、大きく取り上げてもらったアーツアンドクラフツのジュエリー。


とにかく古いものが好きな私は、アンティークジュエリーのみならず、家具や建物にもとても興味があります。

家具の分野で特に好きなのが、アーツアンドクラフツの時代のもの。

しかし、ジュエリーにおいては、これまでアーツアンドクラフツに特に興味を持ったことがありませんでした。

私の中で、アーツアンドクラフツのジュエリーは、現代のファッションとはちょっと合わないデザインというイメージがあったのです。


今回、年代別のジュエリーを探すというミッションの中で、私の好きなアーツアンドクラフツのジュエリーに挑戦してみようと試みました。

勉強して、実際にジュエリーに触れてみると、アーツアンドクラフツならではのジュエリーの魅力に気付かされました。


数少ない工房で、初めから終わりまで手仕事により制作されたアーツアンドクラフツのジュエリーは、作られた数も限定的でした。

高価な宝石は使わず、ナチュラルな天然石などを好み、すべて手仕事だからこそ、作りはシンプル。

しかし、ハンマーの跡を残すなど、手仕事だからできる素朴な美しさを反映させたデザインは、私が思うアーツアンドクラフツらしいデザインです。


この時代は、アールヌーボーとも密接にクロスオーバーしていて、思想的にもデザイン的にも似通った部分があります。

困惑していた私に、ディーラーさんが教えてくれたこと。

アーツアンドクラフツのジュエリーは、忠実な手仕事の喜びにより生み出された芸術であることが何よりもの原点。

それを聞いて、とても納得しました。

デザインがアーツアンドクラフツということよりも、大切なのはその思想の元に作られたということ。


アーツアンドクラフツは、決して裕福な層が対象だったわけではありませんが、皮肉なことに、時間をかけて生み出された数少ないジュエリーは、とても高価なものでした。

今でもアーツアンドクラフツのジュエリーが、宝石を使ったヴィクトリアンジュエリーよりも高価なのはそのためです。


今回私が買い付けたジュエリーは、きっと今のファションにも美しく調和してくれるものです。

知れば知るほどその世界にのめり込まれていく、アンティークジュエリー。

まだまだ学ぶことは無限で、私の楽しみは尽きません。



CHIROL VINTAGE

バイヤー



Arts and Crafts アーツアンドクラフツとは

19世紀中期、工業化していく社会の中で失われていくクラフツマンシップに抵抗して、ウィリアムモリスが主導したアートムーヴメント。

時代の流れと共にものづくりの簡素化や機械化が進み、生活の中における芸術のステイタスの低下を危惧したモリスは、中世のクラフツマンシップを復活させ、生活と芸術を結びつけようとしました。

アーツアンドクラフツは、建築からジュエリーまで様々な分野において影響を与え、大きな思想へと広がりました。

中世を象徴するデザインにアーティステイックな新しさが加わり、回帰運動であったにも関わらずモダニズムの始まりとも捉えられています。






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